雪解風ゆきげかぜ無聊ぶりょう慰む膝栗毛
/雪解風真山の刈株かりばね踏み渡る
/雪解風青き谷ゐを吹き上ぐる
/ポンと出る木道一本雪解風
/雪解風シラネアオイの中にあり
/雪解風鬼面山を漸と見て
/雪解風悪い仲間と缶ビール
/雪解川舌噛む人も泡を噛む
/雪解川釣り師は遠く背を向けて
/谷川に雪解の川を置いてみる
/月山の雪解をわたる芭蕉かな
「信濃道は今の墾道はりみち刈株かりばねに足踏ましむな沓はけわが背」
(万葉集、防人の歌)
/桜月夜人の眉引まよひき思ほゆれ
/ばーさんは糸の切れたる凧ならん畑に出た切りまだ帰り来ん
/雨切ぎれて花の雫がばば濡らす
/肯がえんぜない子供のごとく草引き媼
/囀りや軒を落ちたる雀かな
/けふからは花腐くたしせむ雨ならむ
/昨日見ておいてよかった花に雨
/花に雨だれかさんとだれかさんは傘の内
/ぬる燗も腸はらわたしみる花腐し
/青春をとっとと置いて花散らし
/花散らし行く末案ず明日かな
/雨影に花翳映し花腐し
/雨んだれ花の台うてなと休みたり
/花片はなひらを透かし行くがに花腐し
/我思ふコギトエルゴスム花に雲
/先行きは青葉若葉や花腐し
倉石智證