いつもの月と同じやうに12月にも歌がある
ごめんどうでも胸を開いて
どうぞお聞き遊ばしてくださいませ
ねずみはねずみ、象は象
尻尾の長さをくらべてます
ぼくらが栖んでずいぶんたってからは
ねずみはねずみ
ひそやかな話のなかに
遠慮なさってすぐ近くまで
出て来ることもゐなくなった
青い月夜の寒い晩には
代わりと云っては変なものだが
象がぞろぞろ壁をでてくる
尻尾をあげて鼻を巻いて
ぷぅおーぷぅおーとにぎやかに
隣近所にも遠慮もしない
あれ、そんな大きな耳では壁の話も聞きずらいのでは
じ様の鼾も、ば様の寝息も
本気で本気に心配してゐる
象がぞろぞろ通り抜けて
ご先祖様のお位牌もその足踏みのままポコポコ揺れて
おっかなびっくり喜んでます
トイレが近いのはほんたうのこと困る
聞き耳頭巾はどこにでもゐて
青い頭巾も、紅い頭巾も
こんな寒い晩には耳に耳割れて
ぼくらが寝静まったのを見計らい
鎮守の杜の縁の下から
また走り出し、走り寄りし
鼻の頭を齧ろうとでも
布団から顔出すわたしにちゅうちゅうちゅう
すべて許すと
ぷぅおーぷぅおほほほ
夜の夜中に12月
月夜の晩には星も瞬き
12月にも歌がある
倉石智證