果樹の根方掻いて冬肥の準備せし

/木樹散髪せし雑枝積み上がりて

/硝子戸に映りてぬくし吊るし柿

/柿の竿手にふうらりこ空の先

/いま一歩柿の実熟るる竿の先

/諾うべなひし自分で採れば茸鍋

/板書する子らの今ではタブレット

/山茶花の家ある門の光かな

/マッチ売りの少女忘れし三人称

/そわそわと落葉は風に一芝居

/撃てば弾すぐ飛んで来る向かうからもう間に合わない他に手立ては

/柿落葉他策無かりしかといつも

/ポケットに君の手指を探し初むもうそんなこと風のまにまに

/白菜の畠はたに肥へゆく寒さかな

/玉ねぎを植えて八つ見る寒さかな


倉石智證

八つ=八ヶ岳