企画募集をしてみた
分け得山に行くには多少人数が必要になる
仲間が反対者ばかりでも困るし
かといって賛成者ばかりでも困る
口唇が大きく裂けているものはすぐに分かるが
おどおどとか、にやにやしてゐる人のことは
ほんたうのことその内心のことは分からない
そのうちにすぐに誰かがお腹がすいた、
と云いだす始末だった
最後のバスは行ってしまった
勝った勝ったと小躍りしているものがゐた
バスの運転手がたしなめる
全員がお山に行けるわけでもなかったし
そのうちの全員がお山の天辺に上れるわけでもなかったからだ
分け得山の天辺は意外と狭い
ただ石があるばかりだよとある人は云ふ
山から下りて来る人がゐて
「君らはひょっして選ばれたんだね」
と云ってすっとすれ違って行った
そんなこともあって
結局お山の天辺に上れる人はどんどん少なくなってしまった
1979松井康成「練上嘯裂文大壺」
お山の天辺では
朝翳に一回、
夕翳に一回、
長い長ーいお祈りをする
巨きな石を囲んで
動物たちも人間たちも輪になって
まるでイスラムの人たちのやうに
長ーいお祈りをするのだった
朝焼けや夕焼けにその者たちの長ーい長ーい影が山腹に延びる
その頃になるとたいていのものたちは
たいていの日常のこまごましたことなどを忘れてしまっているのだった
ただ長ーい影をたどると
ほんたうに遠いところの平地で
だれかさんたちがさんざん集まって
さんざん地団駄を踏んでいるのが見えた
倉石智證
