小鳥が囀るのはあれは思考なんだ

人間だけが意識を持ってゐると決めるなんて不遜なんだ

人間らしさをなくして幾分か鳥らしさになれば

あの鳴いてゐる意味も少しは分かるかもしれない

───とまれけふの喜び

パン屑を足元に落としたら

あんな高いところから不意と舞い降りて

さっと啄んでいった

剪定の終わった葡萄畑では

樹液が剪られた徒長枝とちょうしの断面から盛んに滴り始める

何日もお天気が続き、それで乾いた下土を

たちまち濡らし始める

地面に黒いしみがあちこちに出来る

小鳥たちがすぐ耳元まで来て濃い翳をつくった

あれはもう少しすると

成就するとでも云ふ意味だったろうか

 

倉石智證