太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
(三好達治)
この家にかぎって云へば
まるで死んだやうに眠ってゐる
じいさんを眠らせ隣にばあさんが眠り
障子明かりに家ぢゅうがひっそりと肺呼吸をしてゐる
夜もよく眠り、昼もよく眠り
じいさんを眠らせ
じいさんのうへに時の塵がこんこんとふりつみ
ばあさんはうつらとし
ばあさんの肩に忘却の塵埃がほろほろと降りかかる
この家にかぎって云へば家ぢゅうが眠ってゐるのだ
起きないかぎりはいつまでも眠っており
ぼくまでがうっかり深い眠りに引っ張り込まれさうになり
この村にかぎって云へば
昼日中から人っ子一人の気配もなく
猫が横切り
村ぢゅうがひっそりと眠りのなかにゐる
雪がこんこんと埃のやうにふりつむ
秘密めかして云へば、
妻は繭の中に
お昼寝の真っ最中だ
倉石智證
じ様には傾眠、とまではいかないが、
軽眠が四六時中現れて来た。
とくに食事の後はすぐに眠くなるようで、
椅子に座ったままでも眼を閉じてうつらする。
ば様は次第に何かをすることに気力がなく、
ベッドから離れるのを億劫がる。