日に佇む
日の入口に佇む
日をかうして送り、さやうならをして日の岸辺に佇む
手を挙げて角に消えやるまで送りやる
さやうならをしてそしてけふに佇む
きっと会えるんだね
それはいつの日かの明日になる
疑わしきけふの確かな日の戸に立って
美しい声を、美しい歌を聞く
自らを励まして明日へと続くけふを励ます
わたしはまだ留まってゐたい
すべてが過去へと押しやられるまへのたったこの瞬間に
水に描かれたものはあっと云ふまに消えやるから
空に描かれたものは幻に浮かぶから
だからけふを
だから、けふを
けふを励ます
千人が立ってきれいな声で歌ふ
ベルカント
駅舎に向かう無数の人たちの影絵の安らいで
せわしなくこの季節に
確かに新しい年がついそこまで来てゐる
さやうならを古き日の古き年に換えて
かうして角に立っていつまでも別れを告げる
倉石智證