君たちは今、坂下門辺りにゐるのか
いいお天気ではないか
紅葉はいい
佐保姫がいいかとか
竜田姫の方がいいとか
そんなことより
あゝ、ここに来て
つくづくぼくらは日本人だとありがたく思ふ
バルトがここに日本の空虚を感じたやうに
われらはみんな幽世かくりよの世界の地下茎で結ばれ
大物主のころより
言葉はなく
ただ、ありがたく阿留辺畿夜宇和あるべきようわ
陰と陽で云へば
陰日向に
一つは治め
一つは力を与えた
権威はスメロギに在った
そして権威の源泉が民草に移し下げられてしばらく
バルトが日本をエクリチュールしたのは1970年
奇くすしきかな
三島由紀夫が大和のまほろばの国の空虚を嘆き
腹を切ったのだよ
さうだね
今は竜田姫
紅葉はいかにもきれいだ
君たちはそんなことも知って
さあ、そろそろ乾の門を出たのかな
倉石智證
ロラン・バルトは1970年に
日本について独自の分析をした『表徴の帝国』(『記号の国』)も発表している。
(webより)
バルトは、大都会東京の中心に皇居という、
空虚な、何もない森だけの空間が広がっていることに着目し、
ヨーロッパの都市の中心には聖堂や広場を設けられていることと比較し、
意味から解放された日本独自の自由さを肯定的に説いた。
西洋世界が「意味の帝国」であるのに対し、
日本は「表徴(記号)の帝国」と規定する。
ヨーロッパの精神世界が記号を意味で満たそうとするのに対し、
日本では意味の欠如を伴う、あるいは意味で満たすことを拒否する記号が存在する。
そしてそのような記号は、テクストの意味から切り離されたことで、
独自のイメージの輝きを持つものとなる。
三島由紀夫はこの年の11/25
防衛庁市ヶ谷自衛隊駐屯地で切腹して果てた。
バルトも、三島も共に美と芸術に恋い焦がれたものたちだった。



