一方、いつまでもこんなことをしてゐていいんだらうか

あのドアの後ろに気をつけなさい

ドアの縁にひたひたと陽が射し満ちて来て

犬が飛び出て来る

朝になった

夜の闇に腰まで浸かって

鳥がやがてやって来るのを待つのは難儀なことだ


犬は唐突に言葉を喋る

哥は歌に欠ける

そんなもん字は預かりしらぬ

ただよだれがご主人様を辛抱強く待ち

恨めし気に昼と夜と

真っ二つに影と形が現れる

その両極にお犬さまの胴体は行き来し

夜の内に鳥が闇にやって来るのを待ってゐる


鳥たちはもう歌うのを忘れて

だから犬は構わずにしゃべりまくり

もううるさいと云ふのに

わたしの顔の周りを飛び交い

哥は歌に欠ける

たしかにようやく

私の形に鳥の巣になった


倉石智證