心苦しいと心嬉しいが重なる
綯ない混ざって烟に流れる
わたしが歩くとそれを追いかけてかさこそと音がする
話しかけでもするやうに
多くの蔓や雑枝がもう冬の眠りに入ろうとして
風が吹くたびに身を震わせて
枯葉は地に舞い落ちて来る
ぴっぴっとあれに鳴くのは小鳥たちだ
思い切り伸びた徒長枝とちょうしをつんつん剪り落としてゆくと
やあ、ずいぶんな空が開けて
わたしも小鳥たちも胸いっぱいに呼気をする
くまんざれに病葉を集めて
何万と云ふ葉っぱの物語と一緒に
焚火の上から
何度となく何度となく
払い落す
蔓と云はず雑枝も徒長枝もそれと積み上げて
もくもくと煙を上げているが
ぱっと火がまた焔え上がり
ぱちぱちと炎は爆ぜ
心苦しいと心嬉しいが重なる
綯い混ざって烟に流れる
あゝ、収穫の了った畑はなぜにこのやうに静かなんだ
すべてが難産の末
目的と義務を果たし
縹渺と土塊つちくれに黙もだし
放心する
倉石智證



