こんなことを云ったりなんかする人は

礫でもって相手の顔を割ったことがない奴だ

馬乗りになって本気で血が出るまでやる

こんなことを臆面もなく云へる人たちは

雪の中で相手の口の中に雪を押し込む

これでもか、これでもかと

入れて入れて、入れて

鼻水がしょっぱく垂れる

泣きながら押し込むのだ

袖ひじてとぼとぼと田舎道を帰る


貧乏が悪いと云ふわけではない

ただやられていぢめられて泣くのが悪い

しかし、この人たちはずっとひと様の悪口ばかり

不如意なことばかりをあげつらって

なにか得意がってゐる

ぼくにはすぐに分かるのだ

あゝ、この人たちは喧嘩したことがない人たちだなって


あゝ、いぢめられたことも

血を流し、皮膚が破けて骨が白く出たりしたことなんかも

決してない

殴られたら、殴っても痛いんだぞ

あゝ、それなのに一体

ひと様の悪口ばかりをを云って何が楽しいんだらう

悲しいね

ぼくなんかそれでももしどうしても相手が攻めて来たら

肉に喰らい付いてでも戦うね

絶対に負けない


倉石智證