けふよろこぶを

けふしやうと

未来のわたしは今のわたし

そっくりそのままぽつんとあそこにゐる

けふいやなこと明日にしやうと

明日のわたしは

昨日のわたし

そっくりそのまま引き渡される

きっと何とかしてくれると

未来のわたしをけふのわたしは

なんとなく遠目に斜はすに眺めやる


宗助、御米夫婦は

けふも軒端の薄い空を眺め上げては、

ささやかな希望以外、

世間、人生にもうこれ以上何も起こらないことを望んでいます。

漱石の『門』の主人公宗助の心情は

いつだっておおむね先送りなんです。

 

山茶花、山茶花

もうじきに咲くでせう

あの辻の向かうに小さなわたし

木枯らしが吹けば

一時、小春日は向かうに遠のき

手を皸あかぎれに小さなわたしは

一生懸命今のわたしに駆けて来る

倉石智證