僕からわたし

君からあなたへと

あまりにも気まぐれに飛び移るので

それゆへ自分が何であるのか掴まへるのはとてもむつかしい

喋りつかれると言葉を噤む

そもそも言葉では語られないのだ

1968麿赤兒「状況劇場」の公演「由比正雪」で丸橋忠弥のメイク

身体を言語化するとは・・・。

 

事実と異なる異形のものたちばかりが

わたしの周りを取り囲む

ぎろぎろと見るか

そしてさっさっと過ぎてゆく

無関心な景色たち

わたしと私たちの周りに在るのはぼんやりした

空気ばかりで

ぼんやり感ばかりで掴まえどころもなく

のっぺりと

生欠伸を二、三発

 

戸の隙間からだから

ひょっとしたらぼくはゐないんぢゃないかと

あなたに問いかける

きみはもう眠ったふりをして

だからあなたの意見では

とうとう私はゐなくなってしまうと云ふことらしい

 

僕からわたしへ

私からきみへ

君からあなたへ

しかし

ぼくが急にきみになれるわけでもなし

 

倉石智證