ひらひら

手のひらひら

死者の書、パピルス

洞窟の中小春日和

ひらひら

てふてふのひらひら

やはり海峡を越えてゆく

あそこの街では黒煙が上がってゐる

山脈は高くとほく

地図では書き表せない


燃えろ燃えろ静かに

燃えろ小春日和

ひらひらどこへ出かけるというわけでなく

ただ洞窟に一字一句

ペイパーのひらひら

ミナレットに爆薬

るで白昼夢の仕業

孤独でもなく

うるさくもなく


ふわふわ、ただふわふわ

することもなく24時

つけねらう狐たち

みんな寝静まった後なのに

云われたわけでもなくただ

静かに自分の足音を消す

衝立の向かう

結局は死者の書

ネアンデルタール人の告別式センチメンタルな

見たこともなく行く先は地図の十字路

声なきものたちはみな暗闇に棲み

長いこと

待ってゐた


洞窟の小春日和

ひらひら

そしてふわふわ

どこへ行くのかはそれから決める

最後に、

地図は小春日和に燃え上がる

出かけるのを少しためらわせる


倉石智證