決して一人では生きられないのだから

感謝しやうと思ふ

雨はまっすぐに落ちて

秋の雨にはいろいろなことを思い出す

赤い実や、黄色い実や、

みな鳥たちに食べられやうと一生懸命だ

まず手と手を重ね、いくらかでも、親密であらうと

子供のやうに

無心に笑ふ

天に届いただらうか

まっすぐに雨が降って来て

透きとほれ !


こんな大きな構造物の中で

雨がしんしんと降り

吹き抜けに鳥は飛び交ひ

いくらかでも元気のいい人は

挨拶を交わし

さうでない人たちは黙って俯いてゐる

来るだらうか ?

約束のやうに ?

水平と、奥行きと、斜行と、長い長い廊下の突き当りに

垂直なEVがかかり

雲に晴れ間も見える

でもそれに乗ろうといふのでもなく

座り込む


面倒な靴を脱ぎ棄て

ややこしい靴下も脱いでしまひ

全部が、云いがかりだ

壁に赤い木の実や黄色い木の実の絵を飾り

すると、がやがやと思慮深い大人たちが囲むやうにやって来て

僕にはきっと好きなCDをもっとかけて欲しいのに

秋の雨に

こんな静かな大きな構造物の中で

大勢の人たちが蝟集して来た

垂直に雲の晴れ間に天を仰ぎ、

退屈して来て「Bブロック」では地をのぞき込み

突然「サトウサン」

呼びかけられた


あがなへるのかしら

一人では生きられない

止めなさいってば

座ってなさい

あそこでは

無垢な子供らが


倉石智證