天文学者は星のつぶやきを聞いて

戸惑うやうに、ところが───


おじいちゃん、それわたしのリンゴ

食べちゃったでしょう

おばあちゃんが歯の抜けた顔で笑ふ

手助けて共犯するのだ

私たちの躰が星屑でできてゐる

抱き合ってキスをしたとき

私の口からあなたの躰に何かが飛び込んだ


きっとリンゴの中の星屑

長いくらしの内に

あなたが私の周りをぐるぐる回るうちに

星々たちは落ち着きを取り戻し

そして、ある日

卵焼きが正しい天体と云うことになった


倉石智證