やだよう
丑三つ時───
子供が外の掘り抜き井戸で水を飲んでゐる
あれ、やだよう
年端のいかない小さな子供が背を向けて屈んで
顔を見せておくれ
どうかそんな知らんふりしないで
必ず深夜訪れる時間と死について考える
わたしが物音に階下に下りると
ば様は台所で水を飲んでゐる
手の甲で口を拭い
どうも夢かしらと覚めやらぬうつらの顔で
わたしを見やる
青い青い子どもよ
そこをどいておくれ
あれ、やだよう
そんなところで
夜更けて掘り抜きに水を飲むなんて
こっちを向いておくれ
青い帽子と青い背中の
あれは真夜の猫の回廊
死んだ息子があんなちいせえ子になって戻って来たのか
倉石智證