どうしてもそれを知らせたくて

ほら、ザクロが門に熟してきた

蜂がザクロに飛ぶ

時計がぐにゃりとゆがむ

あそこにはナンテンが

みんなそれぞれに場所があり

そろそろまた赤い実をつけ始める


決して夢見がよかったわけではない

でも難を転じるを信じて

デーサービスに送り出す

門の辺りは秋の日差しの中に白く

シーンと静まり返って

いまさらながら、不思議だ

ザクロがそんなところにあったっけ


やがて門柱の向かうに車が止まり

老人が、老人を迎えに門を入って来る

「わたしがこの世に在ること」

「わたしがこの世を去ること」

究極の謎を解きたいと

車いすを押す


倉石智證