花を摘んで来てはお墓に行く
花を採って来てはお墓に行く
花野に畑にみな陽の光の箭柄やがらにつかまって
みな幸福そうに微笑んでいる
けふの日はとまれ
疑ふ余地はないのだ
土手の下に曼珠沙華が咲いた
妻を軽トラに乗せて
出荷箱を農協の選果場に積めば
帰り道
やがて土手伝いに赫赫と曼珠沙華が花盛りに飾る
疑う余地はないのだ
有線放送が、こんな狭い村落にも
また亡くなる人がいて、それを告げる
農道の脇に茫茫と草が背の丈ほども生い茂り
生育と死は明らかだ
刻々と陽は上がって来て
わたしが見たのは花を手に
白い秋の日差しの中を
よろよろとお墓に向かうば様の後ろ姿だった
倉石智證