可笑しい
と云ったら笑いますか
オカシイ
と云ったら笑われます
じ様はある朝デーサービスに行かない素振りをする
曇った空はすこしかなしい
ば様はガステーブルの火元のことで混乱する
妻はどっとのど元に汗をかく
オカシイ
と云っても少しも笑へない
命を乗っけて介護ステーションに行く
ある家では百日紅の花が道にあふれるほどで
それを見ているだけで圧迫される
ウロガードの交換です
逃れるやうに
スーパーに車を回す
妻は安売りを探すとプチ、嬉しい
わたしは車の中で秋の空の雲の行方を追う
うれしいと云ふにはうれしいのだ
塔屋にエアコンの室外機のファンがくるくる回転している
凝っとみているとそれはプチ、かなしい
ある若者たちがその下で憩みタバコを喫ってゐる
妻を乗せてステーションに戻る
或る家の庭先には白百合が咲いてゐる
義父を助手席に乗せるには
わたしの右ひざの上に義父の尻を乗っけてやる
削げて軽い尻になった
オカシイことは可笑しいのだ
思はず笑わないわけには不可ない
百日紅の家の下を通ると
またムッとする
秋の空は水色に流れる
プチ、かなしくて、可笑しいのだ
倉石智證