むろん異論はない

この葡萄棚の破れから覗く空の深刻さだ

雲が迸る

空の青さ


眼の前に数珠にぶら下がる青い青い葡萄の房だ

ものすごい勢いで水流が汲み上げられる

無数の蔓が空に撓る

褐色の幹に蟻が一匹大冒険をする

そして、何処かについに蝉の一匹が啼き始めるのだ


混沌を極めるのはいつも欲望だった

欲望がすべての秩序を形作ってゆくのだった

むろん異論はない

忍耐が後押しする

見よ、この樹皮の堅牢さは

夏の光にあざとく

すべてが身構えてゐやうとは



倉石智證