ゆくか
田にゆくか
虫送りする、日暮れ時
手に手に灯りを持ち
青々とした棚田を歩き
歩き続き申す
次々に灯りはほうたるになって
宙へと漂い出す
何千と云ふ
何万と云ふものたちがさまよい出し
押し合いへし合いしながら
ゆくか
田にゆくか
虫送りする
精霊たちのどれか一つとつながって
畦道を上がったり、下りたり
次第に僕たちも青い青い一部になって
ささやかな
ささやかな営み
いとほしく
前の人は後ろに肩を
後ろの人は前の肩につかまり
かうして何十年となく、何百年となく
棚田の間をさまよふ
精霊たちが導き
蒼き、蒼きが列になって従ふ
虫生むしう
ゆくか
田にゆくか
虫送りする、日暮れ時
手に手に灯りを持ち
手を合わす
向かうに
倉石智證