ちちぽぽとゆかうよ

枕の下だよ

田の三囲みめぐり

長い雨が降れば李が木の枝先に割れる

たまの晴れ間に外表にみんなとび出るやうに

待ってゐたんだよ、入道雲を

あんなに高く積み重なって


古い家屋では縁側に介護の女性が傅かしずいて

お背中よろしいですか

見せてくださいね

後ろ失礼しまーす

お尻だって洗って欲しい

ひのまゝに

ほしいままに。股。


使い果たして農の作業場に

汗を畝に滴らせば

瓜の類は三尺に親しい

ダンス、ダンス、ダンス

手を打ち鳴らす

みんな忘れたよ、昔のことは

けふ彼女が死んだとしても

運命のことだ

死ぬことなんか多分

早いか、遅いかに過ぎない


あゝ、夏雲があんなに高く積み重なる

だから、

ちちぽぽとゆかうよ

ダンス、ダンス、ダンス

手を打ち鳴らす

枕の下だよ

水が流れる

稲も雑草に過ぎなく

だからあんなにも強靭に真緑になって

まるで他を寄せ付けない


ダンス、ダンス

ちちぽぽと

田に出れば

田の三囲を

一人では孤独になれない


倉石智證