足元を明るくする花はいいな
思はずお辞儀をする
それは希望だ
前進だ
運動だ
少年が股漕ぎをして自転車を走らせて行く
とほくに少女たちの声がする
胸元を明るめさせる花はいいな
思はず顔を近づける
シンメトリックなブルー
めらんこほり、憂い顔で
淡く、清らで、でんでんむし
少女たちが恋をし初める
青春の青い疾走
天上を賑やかに飾る花たちもいいな
思はず振り仰ぐ
あれは桃色の季節が過ぎて
あれは白い花片たちも過ぎて
紫に朧に、鳥たちも隠すよ
ブラームスが水色の空に流れる
新たな管弦楽の調べも
呼びかけては押し寄せて来る無限の時間たちよ
そろそろまた忘却の時季がきて
階きざはしに足をかける
振り返へりする
笑いさんざめく者たちが傍らを確かに通り過ぎて行った
疲れも知らず朽ちることもなく
蒼い青い季節よ
夏の入口に佇ち
倉石智證



