そりゃあ御廃およしよ
燕が土蔵の軒の下に来た
五月の薔薇が咲く
貴方は御前おまいなんだからと見てゐると
電線の上に番つがひがうまれて
あらら、御前の上に貴方は
チチチ、と飛び乗った
そりゃあ御廃およしよ
ちょっかいを出したりしては
しかし、ちゃっかりして他所よそを見てゐるふりをして
すぐにまた、
飛び乗る
躑躅つつじ、綾目が咲いた
柿の若葉が陽に光り
いたるところでみんなさわさわと相槌をうち
かうして
世はこともなく
微笑みかへし
芍薬は黄の蕊しべに虫を棲まはせ
さりげなくさりげなく
やってくる
かうした老ひの住まいの廃屋にも
ひとしく
倉石智證






