ちるちると咲き盈みちてゆきますか

ほろほろと咲き散ってゆきますか

万朶ばんだの桜

「さまざまなこと思ひ出すさくらかな」


ぼくはいまあなたの乳首を咥へ

赤ん坊のやうに駄々をこねる

墓石の間、青い草の上に横になり

蒼穹に花片の光りの糸に吸い込まれてゆく

あゝ、あそこに六本木ヒルズが昼間にきらきらと見える

ぼくの夢態に

ちるちると咲き満ち

ほろほろと咲き散ってゆく


おおいそぎでゆっくりと

かうして過ぎ去ってゆくものはすべて美しいものです

ぼくもかうしてあなたの膝枕でもしていれば

すっと、また眠りに誘われる

眼の前のすぐに

イヌフグリの蒼い涙の色に


倉石智證