■(宇宙15,1,7日経)

                          ハッブル宇宙望遠鏡が昨年9月に撮影した

                          「わし星雲」の新たな可視光画像(NASAなど提供)=共同

                          ■柱を構成するガス状物質が、

                          星々が放射するエネルギーによって絶えず蒸発していることも判明。

                          約20年前の撮影に関わった研究者は、

           「なんと儚い存在なんだろう」とと感嘆している。

 

そこに聳え立つ睥睨する雲よ

随所に追憶を断罪しなさい

わたしたちはもう行かなければならない

いつもなら挨拶はするけれど

それとてもかって通りがてらに

心まで許したと云うことはなかった

硬い色のままに心は冷へて

部屋にこもってすること云へば

もはや銃口を磨くことくらいしかない

 

時たま窓の外を見るが

世間の無関心が今は何よりも心地いい

それに、祈ることには狭すぎると云うことはない

懶惰であるのだすべてに

悔悟は無いから悔悟を知らしめてやらうと思ふ

恐怖は無いから恐怖を教えてあげやうと思ふ

愛は、

今はふさわしくないと思ふ

 

ファシズム体制下では

「だれもが一人で死んでいく」と云ふ

そして、あいつらは

たった一度の死なのになぜそんなに躊躇する

と云ふ

耳元で囁くのだ

思想、信条、人間をひとしく扱へ

この国では民主主義はそぐわない

この文明は、不道徳だ

 

そして、寒いと云ふほどのことはないが

お別れだ

兄弟よ、抱擁しやう

映画の幕切れのやうにこれでさやうならだ

虹彩に風景が破砕されてゆく

出来るだけ惨めに、

まるで犬のやうに、

大勢の人たちが土足で駈けつけて来る

 

しかし、地の一番低いところで

わたしをもう少し無視してゐてほしい

わたしはもう少しほうたらかされて

風を聞いていたいのだ

たった一度だけの、と云ふが

あゝ、なんと云ふ無秩序さだ

傲慢がさも悲しげな顔をして腕を組んで行く

人も建物も粉々に飛び散って

わたしは風を聞く

 

不寛容な神よ、兄弟よ

それにしても、アガペー

神の照射が続く

 

倉石智證