ものやある

たれかある

出会へ出会へ


赤ちゃんのこぶしのかうやってやはらかくひらく

ものの芽の空に流れて

気持ち良き

ものやある

たれかある

かうして木蓮の花が幾千もの手のふくらみになって

ぼくの頭上にひらく


とても清潔に白い花片ひら

両の手をかうして包み開くやうに

空にほつほつと呟き出す

無数の花片同士がかうして

おそらくかうして限りなく呟き合ってゐるのだ

あゝ、呼気を吐きだしてゐる

眼に見えない気流が幾千もの渦を巻き

穏やかに空へと立ち昇り


ものやある

たれかある

出会へ出会へ

嬉しさのあまりに道行く人に

ほらあそこにと

指を指す

白モクレンの花が

咲いたよ


倉石智證