無垢があって

土肌のやうに荒れた手がかぶさって黙って頷かれると

どんな死があっても手伝わないわけにはいかない

そのやうな手には云いやうもない善が宿って

穢い汚れた仕事も数え切れないほどして来たものだが

だから大事なものが突然、

神のやうなものに命ごと攫われていったとしても

もう挫けることなく受け入れる


黙って両腕の中に抱えて

右手を右手に包み

左手を、左手に包む

黙って母のやうな仕草で

でも、長いこと

そのやうな日にちを疑うこともなく只過ごしてきたものだから

すべてをだから、

毅然として受け入れる

この期に及んで、泣いたりなんかはしない

それがこの上もなく大切に慈しんできた我が子であってもだ


倉石智證