この道もいいな
歩いて帰ろ
山茶花も咲いてゐる
冬枯れしたザクロの木にザクロの実が紅く残って
薬局に休んだら、お茶が出された
お薬はジェネリックで
食後3回ね
あの大病院の通路では病を得て
老若男女がわんさかとごった返し
しかし、見る間に整然と手ぎわよくさばかれてゆく
それが先生の前に座り
パソコンの画面に突然、こんな風に現われてくるのだ
ここにほら、
こんな風に・・・在ります
Xray 子どもの声や冴えかえる
もっとO2をと幼児柊ヒイラギの木や
つらいよね、鼻にチューブの小さき兒咳コンコンと泣くわけでなく
エコー受ける子どもの声のエコーする大病院の吹き抜けの宙
お熱があります
白血球が思った以上に増えてゐます
これはすぐに切開しましょう
膿瘍を摘出します
ちょっと痛いですよ
あゝ、それがちょっとどころか
搾り出されるんだもの
病得て、そして人々はまたそれぞれを歩きはじめるのだ
世界には僕なんかよりも
100倍も何倍も痛い人がゐて
じっと我慢してゐる
ようやく解放されて
冬のほくほくした陽だまりの中に下りた
薬局に休めば若い女の子がお茶を持って来てくれて
この道もいいな
歩いて帰ろ
山茶花も咲いてゐる
冬枯れしたザクロの木にザクロの実が紅く残って
歩くと、
痛いには痛いのだが
倉石智證