あけましてオノマトペ

ギクキグ、

ガクガク、

ボグホグ、

ザグザグ、

ゴビラッホの小父さんはおおきな桃色の雲古をして

それを自慢げに見上げます

それは大層なもので

お空の上の茸のやうにも見へました


世界が変わるのです

ゴビラッホ、と歩けば

それはまるで呪文のやうで

山の麓の方では

あの辺りではまた雲がぷかりと浮かんで

おうい雲よ

となったりします

それにしてもゴビラッホの小父さんは友達が多い

岩手にもゐれば

群馬にもゐれば

むろんいわきにも

へぶす沼辺りにはもうまわりぢゅう賑やかになるほどの

蛙のともだちがどっさりゐて

ゴビラッホ、

ゴビラッフ、

ゴブラッハ、

ゴブラッヘ、

鳴き声や喋り声であたりは騒然と真緑になる


ゴブラッホと歩けば

あるものは丁寧に立ち止まりお辞儀をする

あるものはそそくさと隠れたりする

呪文をかけると

明けましてオノマトペ

文字と云ふ文字は

たちまちまるで虫のやうにさささーっと集まったり

ギクキグ、

ガクガク、

ボグホグ、

ザグザグ、

ある言葉などはお空の上の方に行ったまま帰って来やしない


人間なんかが中心ぢゃあないんだ

あけまして、

あけまして、

お布団を被ってもう少し指を折って数へてゐやう

ゴビラッホの小父さんは月に跨って

へぶす沼の方へ行ったよ


倉石智證