黄なる冬さうびに陽の光りのふりて

高窓に歌がきこへる

アベ・マリア

きよらに

この季節にはみな畏まりて

天のあの方に罪、咎、憂ひを思ひのたけ託す

アベ・マリア


黒檀の祭壇のまへに

みな人のひとしく頭をたれ

何事のおはしますかは知らねども

ありがたき御心のまにまに

涙たれ、涙たれ、

だから、アベ・マリア

悔悛の深ければ深いほど

天のあのお方の呼び声も力強く

悔い改めよと

黄なる冬さうびの陽の光りに我が身をさらし

我が身をさらし

時に、

翳り翳りゆく


茫然と忘れ去られてゆく時の衣よ

ほどろにほつれ陰影の深く

その前に両手を広げ、異形の人の立ちて

立て、と云ふ声が落ちる

地に海の底ゐに眠りしモノタチノ

年々の深く積まれて

年々の冷たく積もり

立てと云ふ声がする

立ちてモノを云へよと

海に、山に、里に、

立ち立ちて、棒杭のやうに歌へよ


地に空にレクイエムの木魂し

おゝ、地に悲しみの色が未だ夜のやうに残っているものを

昼と夜とに

喜びのすぐ後ろに悲しみが寄り添って

だから、

忘れない、忘れられない

生きてある我らの

悔い改めよと

黄なる冬さうびに陽の光りのふりて

高窓に歌がきこへる

アベ・マリア


倉石智證

冬薔薇=冬さうび


(飯館村)

よい年の始めにお苗取りが参りた――。

(大熊町)

国から「お急ぎ戻れ」と文が届く。

お暇(いとま)請いして、いざ帰れ――。