顚末を皿の上に置く

ウッディ・アレンの顔はきゅうにくしゃくしゃになって

泣き出す


暗い、夜のまた夜の向うに

もっとも幸福な時間が始まった

くるりと羞はにかむんで後ろに隠れる

あゝ、なんて可愛いのだらう

ピオーネの汁吸ふやうな口づけを

とあなたは云ふのだ


そんな風にして無心に

歩いた

きれいな風景の中を

わざわざと川を渡ってやって来たのは

この清明な天然の社やしろのまへで

おごそかに誓ひ

また一歩を踏み出すためだった


顚末は白い皿の上に

ウッディ・アレンは私たちの青春で

愛くるしく、気さくで、利発で賑やかな、

ときに泣く、

そんな無為の時間が過ぎて行った


倉石智證

14,11/16日経歌壇

ピオーネの汁吸うような口づけを頬に受けたり絹雲の下(井上優子)