まなざしはどこか愛に似てゐる
逃げてゆく存在の尻をぼくはどうしても推惟する
割れた卵の価値をどうしても推し量る
尻はどんどん遠ざかり
わたしと我々を無視して
にもかかわらずどうしてもその荒唐無稽を
ゆでた卵の割れた卵ではなく
サニーサイドでもなく
つるりとしたお尻の
あの無形のひとり言を確かめたい
茹でた卵を地球に立てて
愛は眼差しに似てゐる
ラ・フランスの香りに
鼻孔いっぱいに逃げてゆく存在の尻へに
やはり茹でた卵のつるりとわけもなく
洋ナシのくびれた諧調とを
尻のえくぼの笑咲ゑまひ
すべては平然と続いて行くものだ
まなざしはどこか愛に似てゐる
君をぞんざいにそこいらに横たへて
まなざしに包まれて玉子の
一つの指はサティの
捧げる、梨の形をした3つの小品に
あゝ、秋の日のフレーズ
リフレイン
倉石智證