枝という枝の葉の全部を食べてしまったが・・・。
三日経ったら遊びにおいで
月が翳る晩に尻に手を入れる
月が出たら、胸に手を入れる
古い柱時計がぼーん、と鳴る
家がみしみしと音を立てる
あそこでは茸が生えて
こんな夜は夢を見て
あゝ、こんなにも恋焦がれて
ゆず坊、
おまへ、どこへ行った
どっちにする
どっちだ ?
にぎにぎして指を開ける
はなやかに色めき立ち飛び立つはずのものが
影形無く
手の平に空っぽだ
ゆず坊、
おまへ、どこへ行った
どっちにする、どっちだ ?
にぎにぎしてぱっと指を開ける
3日間留守にしてゐたんだ
死んでしまったとしても仕方がない
きっと鳥が来て咥えて空に飛び立った
実に、空に上った
それで天の神様は
きっと、よく来たね、と云ふだらう
虫が攫われた
虫が攫われた
何処へ行ったのかな
青虫がゐなくなった、虫が攫われた
きっと鳥に連れ去られた
きっと喰はれてしまった
かさりとも音をたてない
ユズ坊がゐない
三日も留守にしていたから
夫婦してふたりで一生懸命枝と云ふ枝を探す
それだからどれも
同じ物語と云ふものはなく
古びた屋敷のうちに
じ様を眠らせ、
ば様を眠らせ、
おまへを梁に逃がし、天井に放ち
頬杖をついて
三日経ったら遊びにおいで
月が翳る晩に尻に手を入れる、胸に手を入れる
楽々と、手は足ほどにいそがしく
しかし、あれほど丸裸になっていたのに
ユズ坊、
おまへが不在になって
見たまへ
おまへは何かしたのか
まるでマジックだ
魔法のやうに丸裸だった山椒の木の枝に
信じられないことだが
青々と木の芽が芽吹いて来た
ユズ坊───
蝶は飛び立って
壁の陰影になる
倉石智證
