いやだわねへ

と云ひながら

傘の中、肩寄せて、

いやだわねへ

と云ひながら

カコ履いて、帯占めて、手をつなぎ、

長いこと、見上げてた

遠花火、雨雲のなか

ほと、ほつと

何処へ入ろうかと

とは云へ、とほい夏の日の思ひ出


天地はさうやって一つずつ

なにかを人から奪ってゆく

potbelly hill で、キャベツ畑でもいいのだが

今では

それらはみんな愛にかかはりのあるものばかりだった

傘をたたみ、帽子を飛ばす

帽子は何処までもどこまでも飛んでゆく

夏がそのやうに去った


また秋になるのね

傘はそのまゝに

そこへ立てかけて置いてください


倉石智證

potbelly=太鼓腹