きりもなや

ラプンツェル

それを食べると愛が欲しくなる

ラプンツェル食べたか

体の奥芯に愛が灯る

小さく赤い火となって

それが体をみるみる照らすのだ


オドラデクが記号か徴のやうに

家の紋章のやうにラプンツェルも

ある家では禁断の符号になる

それを、知らないで

袋の闇の奥深くに手を突っ込んだ

あゝ、交接のこのやうにまた心楽しいものだとは


ラプンツェル食べたか

すぐに高い塔屋に閉じ込められて

しくしくと泣くほどにわたしの髪はどんどん窓の外に伸びて

木の蔓か何かのやうに伸びて

それはそれはとても丈夫で

それをあなたは攀じ上って来る


わたしは泣いてゐるふりをしただけだ

すぐに笑顔に溶けて部屋の中に来たあなたに飛びっ付く

ばあさんが手伝い

じいさんが喜ぶ

色々な事情があるが

ラプンツェルは食べてみないことには分からない

赤ん坊が授かりさへすればそれはそれで上等なんだ

魔法使いのおばあさんは塔の上で笑ってゐる

王子さまは帰って行った


倉石智證

Rapunzel=ノヂシャ(野萵苣)


カフカ「家父の心配」で───

オドラデク・・・