文字の音符を

声に出し、

声に出し、

文字の音符を唄います

文字の音符を空にして

空にシャボンが浮かびます


空のシャボンはきらきらと

ゐぃ、むぅ、なぁ、やぁ

声にして、

色にして、

ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、ゐぃ、むぅ、なぁ、やぁ、

あの娘が欲しい

ひぃ、ふぅ、みぃ、

この兒が欲しい

やぁ、こぉ、とぉ、


誦唱して

すれば聞こへる耳の海に

たゆ立ちて鴎かまめ飛び

かまめの文字に

海の青に

かまめの文字に空の青に

千切りてはコスモスの花

すぐに九月の

音なひて

蟷螂も框かまちに立ちて


一人欠け

あれほど一緒だよと約束したのに

二人、三人と欠け

みんな、みんな

田に、水に流れ流れて

消へてゆく

お盆かへれ

文字の音符を誦唱し続ければ

やはりあの兒の

あの兒が欲しい


じゃんけんで負けて蛍に生まれたの

秋ボタルの海にも出でやらずに

今だ地の下に

さみしく冷たく

秋の蛍の光りの

尾を曳き


倉石智證