心の矛盾の

どくどく、わきわき、くすくす

むじょむじょ、虫が皮膚の下を走る

ほらここからここまで

皮膚がもりあがり虫の形に蠢く

見てゐると虫酸が走る


未だ茗荷になっていないよ

茗荷タケだよ

このカツヲの血合ひを見てごらん

人間だけだ

生物では花なら花だけ

巧妙さはそこまでだ

酸っぱくなるときなんかないさ

酢になるときは死ぬ時だから

あゝ、人間を解剖して見たいだなんて


GODZILLAが摩天楼にあらはれる

まだこっちの方が良心があって

正義の味方は恐ろしい空の景色の中にすっくと立つ

消毒色のカーテンに仕切られて

透明に窒息する

眼を見開いたまま良心の傍らを素通りするのだ


茗荷タケが咲いたよ

そこだけが地下茎の上にぽっと明るんで

昼には思い切り血合ひのいいカツヲを

もう、歩いて行く街区には

色が崩れんばかりのカンナが咲き乱れ

混乱する


倉石智證