ほら、あれが鳥だよ

空はどこまでも青く晴れやる

自由っていいね

ほら、あれが魚だよ

海はどこまでもいっぱいだ

楽しげだね

ほら、あれが蝶だ

何千㌔も海の上を翔んでゆく

屹度、言葉を伝へにゆくんだね


考えろ、諸君ら

自分の感受性くらい自分でなんとかしろよ、莫迦者メ

と、あの詩人は云ったものだ

アーレントはショーウィンドの前に佇む

ガラスに自身を映し、きつく口紅を引きなほす

法廷はアッチだ

この悪の凡庸さに向き合ふために

氷でキンキンに冷やしたvodkaヴォーットカが必要だ


莫迦者メ、

自分の感受性くらい自分で何とかしろよ

空は自由なのに

海はいっぱいなのに

青く、青く、

高く、深く、

鳥も魚も蝶でさへ

ほらごらん、

自由に往ったり来たりしてゐる

それなのにエアプレインが墜ちた

最後は、音もなく

あゝ、14㌔にも広がる地表に多分

骨も、皮も、髪の毛も、血も肉片もみんな

言葉も、思い出も、こもごものそれら全部の愛も

傍ら、黒こげになったタービンが意味もなく転がってゐる


人間の条件、国家の条件を

いったん解体しろよ

アーレントは3本目のタバコに火を点ける

関係者は集まって欲しい

自分はユダヤ人だから、

だから何の解決にもならないことは知ってゐる

歴史が深く長いこと関与してゐるのだ

マネーと云ふ、

言説といふ、

信仰と云ふ、

契約と云ふ、

宇宙の猛威ならともかく

人間の猛威を

人類は自分たちの世界に持ち込んでしまったのだから

永遠の解決のない逃走がはじまった


国家はいまさらながら古い外套を着て

古色蒼然と亡霊のやうに佇み

「・・・であるかのやうに」

国民を惑わす

かのツキジデス云はく、

国家の根底には「恐怖、利益、そして名誉(メンツ)」があると云ふ


ホラネだから───

「なぜこんなことに」

と云ふことになる

みんな世界ぢゅうで

ガザで、シリアで、ドネツクで、チベットで、ウィグルで

西沙で、南沙で・・・


サッカーで夜通し夜更けて擾乱じょうらんしていたころ

集団的自衛権行使容認がこの国では決まった

動物化するポストモダン

スタジアム信仰をもっともよく利用したのがかのヒトラーだ

一方、ユダヤ主義は国家と資本が結びついた典型となり

「米国はイスラエルと一体である」と地上軍は

ガザの土竜もぐらを叩きに戦車の列が土煙りを立てて

誇り高い若き戦士達よ、幸運を祈ると

もう、地上のあらゆる母のごとく

土を叩き、あられもなく、泣くしかないではないか


われわれの悪の凡庸さが、かうさせるのだ

ハンナ、タバコの火が指を焦がすよ

人間の条件と、国家の条件を解体せよと


国家主義ではなく

市民主義と、株式主義のもとに人間の条件をもう一度引き直す。

国家はメンツばかりだ。

一つのベクトルに国民を従わせようとする。

そして我々の中流の中に巣窟する全体主義がある。

国家はミサイルを有すること可能だが、

市民はせいぜいが武器だ。

国家は領土、領域に関心を集中させるが、

市民は“入会地”便益と効用と平和に興味を持つ。

株式主義は平和であることが前提で、

稼ぐことが正義ではあるが、

基本的にはあらゆるステークホルダと明日も、あさっても仲良くしてゐたい。


ちょっと待ってほしい、ハンナ

市民ではミサイルなんか持てないのだから

いま、

鳥よ、

魚よ、

蝶よ

伝へてよ

魚も空を泳いでゆく

ラサに伝へてよ

ポタラに伝へてよ

嘆きの壁に

スフィンクスに

アマゾンの奥地に

人類はきっと自由なのだから


倉石智證

国家ではなく、いまそこで暮らしてゐる人たちが一番大事なのだから、

クリミアにも株式主義を適用させれば〈三方一両損〉、

ロシアのメンツも立ち、

その代わりにロシアにウクライナの債務1兆円以上をチャラにさせる、

と云ふ方法もあった。

国境主義、国家主義を一番に優先させるのではなく、

そこに棲む人たちの暮らし向きを一番に優先させるべきだ。

どんな国の形になろうと、生産の三要素───

「資本、労働、TFP」は変わりはない。

それらが福利厚生を、つまり“厚い生”を生み出してゆくのだから。

隣人のステークホルダーとの関わりがなければ、

いま新奇の「イスラム国」でも立ち行かないのは当たり前だ。

宗教、信仰、メンツばかりでは今日のパンとビノは確保できない。