お入んなさい

この輪っかにお入んなさい

お出んなさい

そして、この輪っかからお出んなさい

いつまでも愚図愚図していてはいけない


真っ白な日向の庭で

みんな出はからってだぁれもゐない

縁側でそれこそ針と縫い糸で

あなたの膝をきつく縫ってしまおうかと

二度と膝がしらを開いたりせなんやうに

お祖父さんが許したとしても

いいえ、わたしが許しません


お出んなさい、はやくその輪っかからお出んなさい

いつまでもぐずぐずしてゐると

そして、いつの間にか齢を取って仕舞ふ

暗いさみしい山の端に行って

家の塵芥をきれいさっぱりと捨てる


お帰んなさいて云ふ

ようやく許されて

お入んなさいて云はれる

白い輪っかがあって昔から一人遊びが

お入んなさいって誘ふ

しかし、

もうそろそろ出掛けなければ


倉石智證