ぼくにはどうしても雲に見える。
えっと、ほらね
なんだっけ
雲のことだか、花のことだか
だめだね、歩きながらのことだから
三半規管がいやいやをする
眼の奥のことだから、目ん玉の裏の
桿体かんたい細胞とか錐体すいたい細胞とか
なにしろ色にまつわるものは不思議だ
あのひとはきっとDr なのだ
風景と色をどこからか探し出して来て
そして、そのことをすぐに忘れる
見て、
目の当りにしていることと
脳の裏側に張り付いているものは違うのだ
だから、雲は天才で気にしない
花の奥に潜む記憶や
さらに蘂しべを遡る地球の起源については
まったく、想像するしかないんだ
で、またなんだっけ
妻に云われるまではお箸が止まったままなのに気がつかない
石の花を摘まんで
浮かぶ雲を摘まんで
ひとぉつ、ふたぁつ、みぃーっつ
気が付くと、
雲の影を楽しむ
倉石智證
