まて、しばし・・・
まて・・・
うぐいすが鳴きいだし
他の名も知らない鳥の声も
まてしかし、白樺の樹林もツガの大木もずいぶんと静かだ
高速リフトはしずしずと行き
頂上近くに、
そして一気に爆発する、
祝祭日だ
五月の空の、あれほどに待ち焦がれた
残雪にきらめき、カラフルな色彩に溢れる
まて、しばし、
思ふ存分に深呼吸をし
それから───
down、
ゴーグルの眉庇に反射する陽光
私は、いま、インサイドに
わたしはわたしの内側にゐる
down、down down down
歓喜の声だ
スパークリングにぶちまけたやうに
歓声がスロープのあちこちに木魂する
いま、わたしは次へと私の外側になる
あゝ、あそこに青く見えるのは眼下に
田代湖が残雪に縁どられて
まるで人々はスロープを描き
それへと飛び込んでゆく豆粒のやうだ
しかし、やがて日が頂上に上るにつれ
ゆるやかな索道がスロープ越しに
繰り返し、
繰り返し、
なんと物憂ひ午後になるのだらう
ビールの泡を空へと吹く
酔ったならば、
よし、今一度あの一番奥へ上って見やう
雪を足元に軋ませて
それから、ゆるゆると索道に身を任せる
ツガの大木の林の上を
すぐにまたウグイスがあちこちに鳴きい出し
見渡せば残雪が陽炎のやうに未だ四壁に立ち
確かに五月の空だ
神々が遊ぶ
だから、待てしばしあそこにも
いま、わたしはこの天上を恣ほしいままにする
倉石智證