■(14,3,21日経)プーチン大統領の顔の旗が、赤の広場に翻る。

旗に書かれた文字は「We are together(我々は一つ)」

(18日、モスクワ)=AP


犬がデパートにわたしを連れて行く

地下に下り、それで腑に落ちた

骨が欲しかったのだ

犬が草原にわたしを連れだす

緑の風が心地よい

ループを投げる

遊んで欲しかったのだ

みんな記憶の中での彼、彼らであったから

約束したものですから

とは云へ

あらぬ方へと犬はわたしを連れて行く


見知らぬ土地へ

愚かな19世紀

愚かな20世紀が過ぎまた…

感情教育はプルーストで終わったものですから

紙の中であらゆるものがカビ臭く古くなって

突然主人公は思ひ出すのです

朝のマーマレード、ぼくのマーマレード

わたしのパンとヴィノ、夜のパンとヴィノ

敬虔な祈りが周りぢゅうに立ち込めてゐたものですから

自由のためですそれならと

みんな一斉に喜んで首を差しのべました


半島に船を漕ぐ

犬はずっと主人の帰りを待ってゐる

大勢の人たちがフラッグを振ってゐる

記憶───

それはすぐに忘れ去られるものですから

21世紀になってもまた首輪を嵌められたものですから


さあ、自由を差し出したのですから

パンを下さい

犬のやうに、と云ふ

まるで犬のやうだ、とも云ふ

ぢきに半島も緑に萌ゑたつでせうが

あの人は少しも笑っていませんね

きっと、サビシイノデス


倉石智證