見よ、晴れた

oh-donma-born-ghiri-born

世界は呪文のごとく

born

生まれ来る


次へと生まれ来る

わたしは毎日のやうに見ている

固い芽を破って

おほかたそんなもんだらうと思ってはいたが

思ひがけず

あらぬ処からこれも固い表皮を打ち破って

次へと芽吹き

緑の焔ほむらがざわついて来る

おどま、

おどま、

両の拳をきつく握ってたへていたものが

涙、たれ

喜びに震へ一気にみち溢れてくる


わたしは毎日のやうにそれを見ている

世界は 呪文のごとく

おどんま、

oh don't mind、

無性に、眼に洗はれて

緑の焔ほむらが立ち

わたしはどのやうにしたらそこへと行けるのかと尋ねると

素朴に、一切に答へず


さんしゅうの木は

水をくりょうと

見よ、晴れた

陽の光りにあらはに

けふの山椒の木はすでに陽にあららかに

すべての葉脈が金色に輝きだす


わたしは毎日それを見ている

世界は呪文のごとく

すでに一切は前へと戻ることはなく

生まれてしまったものは帰れない

葉脈は固い表皮に消へ去ることなく

おどま、

おどんま、

その時確かにどこかで蝶々が生まれた


倉石智證

山椒の木が芽吹き、

今年も蝶々とのバトルが始まると、

かみさんは嘆いた。