■1952浜田知明「初年兵哀歌」

副題に「ぐにゃぐにゃとした太陽がのぼる」


18歳になったらね

兵隊さんになっていいんだ

16歳になったらね

戦争に行っていいんだ

人を、殺してもいいんだ


口をあーんてあけてごらん

あゝ、赤く扁桃腺が腫れてゐる

歌へ、歌へ

鉄の棒が熱くなるまで

歌へ、歌へ

寒さが消へてなくなるまで


扁桃腺が腫れてゐる

もう、どうしやうもないね

この穴凹のなかで

眼の中にうすくわぁーッて水を撒かれたみたいにくもって

恐怖は消へてしまったよ


ここはお国の何百里

離れてとほおき満州の

赤い夕陽に照らされて

とおもは野末の石の下

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どうも、もうかぞへて見ると,

ぼくはもう

石の下にゐるみたいだね


倉石智證