■ポール・デルボー

夢の中へと、ノスタルジーと。

ポケットに入れっぱなしで出すの忘れちまったのね

あーあ、悪くなってしまってゐる

夢は、白馬に乗ってだ

そして、古代馬車で乗り入れる

誰もそれに乗ってゐるなんて思はないけれど


それはそれ

ところで

ダンスなのか、タンスなのかはっきりして欲しい

そこで晴れ晴れとする

長い清潔なキッチンカウンターがあって

先ほどからケトルにお湯がちんちんしてゐる

だあれもゐない


それはさうとたんすにゴンだ

豆シバのポチがようやく廊下の端から現われて

よちよちと来て坐った

かあさんはどうしたの

お湯がちんちん沸いているのに

よそんちに上がり込んで

TVにしがみついてゐる


古代馬車の背は高く

それだけに豆シバのポチには不安だ

出し忘れちまったのねポケットから

だから負けてしまった

夢は白馬に乗って

はやく、

はやく、

もうすぐ父があの坂道を上って帰って来る


倉石智證