■久里洋二さん「もみの木」

(絵は語る)Xmasのために切られた一本のもみの木。


ha-ha-ha

We wish you a Merry X'mas

とは云ふものの妙にさびしい

We wish you a とは云ふものの

あそこにいたはずのものが急にいなくなってしまった

夜の空にはあまりある

どんなものでも深い闇に攫われて

We wish you aと云った途端に

そこだけが空虚になる

みんなで幸せになるのを願っているのに

みんなが整然として立って

今年も無事に過ごせますやうにと思っていたら


北の国では、やはり

眼鏡が顔にずれて

頬の傷が痛々しい

林のやうにみんなしーんとしてしまって

その内とほくで

ドンとなった花火を聞く

肌色の温かなツリーがあったものの

灰色の石の木に取り換えられて

冷える、

冷える、


北の国ではそれでも

こんな時には何があったのか知らぬげで

みんな林のやうに佇立して静まりかへり

みんなよそを向いて

ドンとなった花火だ

みんな他所を向いて

We wish you a Merry X'masと

ha-ha-ha

少しさびしい


倉石智證