あの頃の時代に生まれ変わったら

ぼくは社会主義者になっていたのだらうか

社会主義者になっても

母さんは同じやうにぼくを愛してくれるだらうか

あの頃の時代に生まれ変わったら

たとへばぼくは見ず知らずの女の子を家に引きずり込んだりする

あゝ、かあさんはそんなときなんて云ふのだらう


深編み笠を被らされ

赤い獄衣で馬車に積まれて

でも、曼珠沙華を見れば恐ろしくなる

獄門台のすぐ瀬戸際まで行って

坊さんがなにか説教を始める、途端

ぼくは脂汗をかいて大急ぎで引き返す


眼が覚めて、まじまじと天井を見つめる

しかし、あの頃、

ちょっと境目のこちら側にゐた若者たちは

みんなそれがなにかの間違いであるかのやうに

ピストルを持ったり、ペンを持ったりして

はげしく突き進んだ

でも、たいていの話では

すぐにみんな結核になったりして

女の子に介抱されながら

赤い花なら曼珠沙華と───


お位牌を先頭に田圃の畔道を行く

石の地蔵さんが、やう。


倉石智證