心を汚してははいけない
ツルウメモドキがはじけた
心を汚してははいけない
ツルウメモドキがはじけた
そのことが私になにかを告げた
山の斜面を疾しり下りる時
岩肌が完璧に冷え切ってゐるのを知った
巌に冷へて茂るツルウメモドキ
「獣臭がする」と、誰かが云った
熊でもゐたんだらうか
歩荷ぼっかが木道を遠景に行く
遠い山並みに歩荷の軸が揺れる
色々な心が今や、空と山に溶けだしてゆくのだ
木の枝を山上で倒して見る
ぼくは谷の方に行ってみようと思ふ
案の定、下りてゆく先に小さな村落があった
水が滾々こんこんと落ちて
「屹度、ケモノがゐたんですね」
と、だれかが云った。
倉石智證